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中村聡史氏に聞く【BADUI】の知的な楽しみかた|『失敗から学ぶユーザインターフェイス』

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web制作の現場においても、webサイトのユーザビリティを考えることは「いいユーザインターフェイス?以下、UI?」を考えることと同義と言ってもいいかもしれません。こうしたUIを考える上で、数々の貴重なヒントを与えてくれるのが明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科准教授、中村聡史氏の著作『失敗から学ぶユーザインターフェイス-世界はBADUIであふれている』です。

2015年2月に技術評論社より出版された本書はそのタイトルが示す通り、バッドユーザインターフェイス?=BADUI?の膨大な事例を通して、「なぜこれがBADUIなのか?」そして「どう改善していけばいいのか?」を分析/考察した一冊です。

一見すると難しそうなテーマですが本書は非常に平易に書かれており、各クリエイター・エンジニアはもちろん日常的にUIに触れるすべてのユーザーがBADUIを楽しみながら、同時に深く考えさせられる内容となっています。

今年2月に技術評論社より発売された『失敗から

?webサイト「楽しいBADUIの世界」から転載?

上図の標識がついているトイレは男性用?女性用?それとも兼用?
こうして私たちが「モノ」と対峙するとき、そこにはUIが仲介することになります。もしこのモノからのメッセージをUIが誤訳して私たちに伝えたとき、そこには知的でスリリングな「BADUI」の世界が広がっているのです。

そんな『失敗から学ぶユーザインターフェイス-世界はBADUIであふれている』を執筆された中村氏にお話を聞くことができました。

中村聡史氏に聞く「BADUI」のはじまりと今後

Q.本書の冒頭では、BADUIを学ぶメリットとして「成功事例でなく失敗事例だからこそ得るものが多い」というBADUIの社会的な意義について触れられています。実際に本書あるいはwebサイト「楽しいBADUIの世界」はまさしくそうした集積知として意義ある存在となっていますが、まずはBADUIを研究することになったそもそものきっかけとはなんだったのでしょうか?

?中村氏?「BADUIは研究というよりは、趣味に近い話になります。もともと人間観察が趣味で、人を観察してはその行動から『何を探しているのだろう?』『何でこんな行動をとったんだろう?』『何で悩むのだろう?』と考える事が多くありました。またその過程で人を悩ませたり、人を勘違いさせたりしてしまう面白い看板や切符の券売機、ドアなどを写真のライフログとして撮影記録していました。

そうしたことを続けていたある日、東京大学の暦本純一先生が書かれた記事BADUISMというブログ記事を読んで『ああ。自分の興味はコレなんだな』と思いいたり、そこからBADUIの事例を積極的に集めるようになりました」

Q.日常生活でBADUIに遭遇するとイライラさせられるなどネガティブな反応を起こしてしまう反面、同時にその「憎めなさ」のようなものに心惹かれてしまう ――こうしたBADUIがもつ独特の「魅力」とは一体なんなのでしょうか?

?中村氏?「『なぜこうなってしまったのか?』ということを色々と考えることができるところがBADUIの魅力なのだと思います。BADUIになってしまった原因はデザイナーのせいなのか、エンジニアのせいなのか、それともUI自体は問題がなかったのにそれを設置した人の設置方法に問題があったのか、それとも発注した人のせいなのか、などいろいろです。

またBADUIになってしまった事情(経済的理由や納期的な理由、急な仕様の変更や設置者の不勉強、ユーザの無茶な要求など)を考えるのも面白いことです。つまりこうした原因に『ひと』がにじみ出てきて人間臭さを感じられるのがBADUIの面白いところかなと思っています」

Q.本書では詐欺的なBADUIの悪用にも警鐘を鳴らされていますが、BADUIは用い方によっては人を人為的にコントロールできるなどものすごく恐い「技術」にもなりえないでしょうか?

?中村氏?「UIを広くとらえると、UIによって人の行動はある程度はコントロールすることは可能ですし、また何らかの操作においてまるで自分の意思でそれを選んだかのように錯覚させることも可能です。BADUIが恐い技術になってしまう可能性は十分にあるのかなとは思います」

Q.本書の特に第5章「慣習」では、「UIとの接触経験の上に築かれたルールや慣習はBADUIの前にいかに簡単に崩壊してしまうか?」という読み方もできて、非常にスリリングでした。こうした文化的なコード?規則?との関連性を考えると、このBADUIへの視線は文化論・社会学的な領域など射程が非常に長いように感じます。今後BADUIの研究はより学際的なものになっていくのでしょうか?

?中村氏?「まさにそうなっていくと思います」

Q.最後に弊社を含めwebサイトやwebサービスの制作サイドに向けて、BADUIの観点からアドバイスをいただけますか?

?中村氏?「ユーザーを徹底的にイメージすること。また世の中にある数多くの失敗事例を学び、どういった問題が発生する可能性があり、それをどうやったら解決できるだろうかということを日々考え、事例と解決策を蓄積していくことが重要だと思います。

そして何らかの問題が発生した時には、その蓄積した知識を取り出し、改善していく必要があるのではと思っています。また考えるだけではなかなか問題に気付くことができないため、試作を作って実際のユーザーに使ってもらうことも重要だと思います」

UIデザインとは「人―モノ」との関係性をつくること

本書を読むと、改めて日常生活におけるモノおよびUI側から送られてくるメッセージの多さに気付かされます。こうした「人―モノ?およびサービス?」間のコミュニケーションが円滑であれば、その橋渡し的な存在であるUIの存在はいかにも無機質で、意識されることすらない場合もあります。

一方でこの両者のコミュニケーションに食い違いが生じた場合、我々の「人―モノ」をめぐる関係性は激しく混乱し、その「モノ」をめぐる認識自体が大きく変容してしまう可能性もあります。つまりUIに関わる問題は「人―モノ」との関係性の問題そのものとも言えるかもしれません。

Apple watchやGoogle Glassなどウェアラブルデバイスの登場でますますUIデザインに対する注目度は高まっています。また今後も出現するであろう詐欺的で危険なBADUIの悪用から身を守るためにも、BADUIに対する知識はwebリテラシーの必須項目となってくるようにも感じます。

そうした中、本書『失敗から学ぶユーザインターフェイス-世界はBADUIであふれている』は「人―モノ」とのよりよい関係をどう取り結んでいけるのかを考えさせてくれる知的でスリリングな一冊と言えそうです。

中村聡史
明治大学総合数理学部准教授。1976年長崎県生まれ。大阪大学工学部卒業後、2004年同大工学研究科博士後期課程修了。博士(工学)。情報通信研究機構専攻研究員、京都大学特定准教授を経て2013年より現職。専門はユーザインタフェースで、研究としては人のための検索、ライフログ、ネタバレ防止、平均文字などに従事。
?同書プロフィールより抜粋?

■twitter:https://twitter.com/nakamura
■webサイト『楽しいBADUIの世界』:http://badui.org/

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