2016年2月16日、17日の2日間にわたり東京ビックサイトで開催された、マーケティング・テクノロジーフェアに行ってきました。通販事業を行う会社には注目のイーコマースEXPOも併催。今回は、マーケティング・テクノロジーフェアを中心に、その参加レポートをお届けします。
個人的な感想が中心になりますが、今のトレンドや雰囲気などを少しでも感じ、役立てていただければと思います!
今や、マーケティング・テクノロジー=MA
こうした展示会で分かるのは業界の大きなトレンドですが、マーケティング分野では、MA(マーケティングオートメーション)の展示がメインとなっていました。もはや、「マーケティングテクノロジーの中心はMAだ」ということは間違いないようです。
出展者のメジャーどころとしては、やはり「Marketo(マルケト)」。来場者もここには注目していたようで、それほど大きなブースではありませんでしたが、どの時間帯もかなりの賑わいを見せていました。
ミニセミナーも開催されており、聴講した回では、「MarketoがBtoBのためのもの、あるいはメール配信ツールだというのは過去の話」という紹介がされました。Marketoそのものが機能アップしているということもありますが、どちらかと言うとSFAやアクセス解析などの他のツールとの連携強化(Marketo?AdBridge)をさらに進めて行く傾向にあるようでした。
またMAと関連してSFAや名刺管理といった出展もかなり目立ち、個人的な印象としては、ややBtoBを対象にしたマーケティングツール類が多い展示会に見えました。
展示から消えたツールや手法たち
MAが賑わうのと対象的に、今回はほとんど目にすることがなかったデジタルマーケティング手法もありました。その一つがSEOです。かつてWEBマーケティング系の展示会では主役級の役割を担っていたSEOですが、最近の展示会ではめっきり少なくなっています。今回も目にすることはありませんでした。
もう一つ、昨今のWEBマーケティングの主役であるはずのコンテンツマーケティングの展示もあまりありませんでした。以前は、コンテンツマーケティングをSEOの手法として紹介するような展示もあったのですが、今回はそうしたものにも出会いませんでした。
もちろん、SEOもコンテンツマーケティングも必要とされなくなったのかと言うとそうではなく、むしろ、現場では大きな存在感を持っていると思います。しかし共に何らかのツールを利用することで解決するものではなく、定型的なサービスではもはや成果が出ないということを多くのWEB担当者も分かってきているので、こうした展示会との相性は悪くなっているのではないでしょうか。その代わりに、個別セミナーなどが頻繁に行われているという印象があります。
その他の目立ったトレンド
Marketoほどはメジャーでないものの、グングンと知名度を上げている国産のMAツール「SATORI」は複数社による合同ブースで展示をしていました。
一緒に出ていたデータ活用の「トレジャーデータ」は、様々なソースからデータを「貯める」ためのソリューションを提供、それをもとに各種ツールで施策をうっていくというコンセプトが出されていました。
また、スマホ向けの情報配信ツールを展示していた「ブログウォッチャー」や、A/Bテストのメジャーどころの一つである「Kaizen?Platform」といったところも、データを基に効果を高めるという考え方。テーマを同じくする複数の展示があるということも手伝ってか、この共同展示ブースはどの時間帯も賑わいを見せていました。
この他に興味をひいた展示は「SiTest」というツールです。一見ヒートマップなのですが、ページのA/BテストやEFO(エントリーフォーム最適化)もできるというマルチなツール。無料のフリープランがあるので、気になる方はすぐにでも試せます。
また、インバウンドマーケティングツールという打ち出しの、「Cloud?Circus」というものもありました。同じ会社から他にも「BowNow(バウナウ)」というMAツールなども出されており、ツール単体の提供というよりも、多くの既存ツールを使って、最適な集客方法のコンサルティングを提供するというイメージのようでした。
その他でトレンドを感じさせたのは、旅行業界のインバウンド、つまり訪日外国人をテーマにした展示が複数あることでした。メディアでも多く取り上げられていますが、WEBサイトもこうした訪日外国人をターゲットにしたものが見られます。関連したビジネス、新規で事業を立ち上げる際には、まだまだ狙い目の分野でしょうか。
標準化したECというビジネス
イーコマースEXPOの方についても少しだけ触れておきましょう。展示は一括代行、カートのASP、コールセンター、フルフィルメント(の代行)、各種決済など定番のものが多く出展されていました。
インターネットを介して商品を購入するという消費行動がすっかり定着し、新たなものはあまり出なくなっているという印象です。トレンドという観点では、数年前は海外展開、特に中国に対する越境ECが積極的に出されていましたが、そうしたものはかなり縮小された感じでした。ネットで注文と言ってもサポートなどの対応は必須ですから、現地でそこまで整えるというのはなかなか厳しいのかもしれません。
EC系で少し面白かったツールは、アドウェイズという会社の「Nint?for?EC」というもの。これは楽天市場内で売れている商品やショップなどを分析し、出店している自社のショップの参考にしていけるというツールです。広告や商品検索といった楽天内で公開されているデータをもとにしているのですが、こうしたちょっと気の利いたツールをチェックしておくと良さそうです。
感想。マーケティングはあるべき姿へ進んでいる
展示全体を通して、「データ活用のツールやサービスが、かなり整ってきたな」という印象を受けました。マーケティングとは何か?というのはいつも出て来る疑問で、専門家も微妙に違う解釈をしていますが、データ活用は間違いなく必須です。
しかし日本では、どうしても感覚的なものに偏りがち。WEB分野でもそれは同じで、結局は担当者や決裁者の主観で決められたり取り組まれたりしている状況が、まだまだ多く見られます。だからこそ、データを使いこなせば一歩リードすることが可能です。
今後は、データと主観とのギャップを埋めることができる事業者(サイト)が、効率良く結果を出していけるでしょう。感覚や経験値はもちろん大切ですが、データを集めることができるのがデジタルマーケティングの強みですから、それを活用しなければ本来の良さを引き出しているとは言えません。
その先に、新たな可能性があるという気がします。
そのためのツールやサービスは出揃い、ますます進化していると実感した今回の展示会。手の届く価格帯のツールも増えてきました。勝負は、意識の切り替えができるかどうかにかかっていると、あらためて感じました。
今回のまとめ
- マーケティング・テクノロジーフェアの主役はダントツでMA。SEOやコンテンツマーケティングはほとんど見られなかった。
- ECについては多くのツールやサービスが出揃った感じ。その中で気の利いたツールを見つけていくのが良さそう。
- データ活用のためのツールやサービスは整って来た。それを使ったデジタルマーケティングを実践していくという、マーケティングの意識の切り替えがポイントか。
<参考サイト>
マーケティング・テクノロジーフェア
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