少し前までは、動画と言えば横長が常識でしたよね。見にくさから、「縦長はNG」とさえ言われていました。しかしここにきて、縦長動画を目にすることが増えてきたなぁ…、と感じている方は多いのではないでしょうか?
スマホシフトが進むにつれて、動画をスマホで見る人が増加。わざわざ横に倒して見なくてもいい縦長動画への注目が高まっているのです。そこで今回は、縦長動画に関する情報をまとめておきたいと思います。事例も紹介していますので、ぜひ参考にしてください!
スマホ時代の今、ユーザーの動画閲覧状況は?
視聴行動の分析サービスを提供するニールセンの調査では、日本のスマホユーザーの82%が動画を利用しているという調査結果が出ています。利用時間はPCより短いものの、動画の利用に限ってみればPCよりも30%近くも多く、スマホでは動画が日常的なコンテンツとなっていることが分かります。このような背景から、動画の世界でもスマホシフトが進んでいます。
従来の動画で「ヨコ長」での視聴が主流だったのは、PCからの閲覧をイメージしていたため。動画投稿メディアや動画視聴ソフトなどの多くも横長のサイズを想定したものになっており、縦長の動画では左右が余ってしまうため、画面を十分に活かすことができず、ユーザーにとっても見にくいとされてきました。
しかし、スマホからの閲覧が増えてきたことで、こうした状況は変化。動画マーケティングを支援するモバーシャル株式会社が行ったユーザー調査では、すでに多くのスマホユーザーが「縦方向」で動画を閲覧しているとの調査結果が出ています。
動画を視聴する際に、スマートフォンをいちいち横に傾けずに縦向きのみで見る人は28.4%と、ほぼ3割。一分以内の短い動画だけに限った場合は、約?4?割(?39%)が縦のみで見ると回答しています。これに対して、「横向きのみで見る」人の割合は減少傾向。動画は「横向き」で見る時代から「縦向き」の時代へと、徐々に移り替わっています。
この傾向は若い世代ほど強く、理由としては「片手で操作しやすい」「見やすい」「持ちやすい」などが挙げられています。
YouTubeなどの動画投稿メディアも「縦長動画」への対応を推進
スマホユーザーの閲覧動向の変化を踏まえ、各WEBメディアも縦長動画への対応を進めています。
YouTubeは、2015年にAndroid、iOSともに縦長動画への対応を行いました。また、より早くから縦長動画に対応していたVimeoでは、非常に多くの縦長動画の投稿見つけることができます。
縦型動画で試行した「C?CHANNEL」
元LINE社長の森川氏が立ち上げた若年層向けのファッションメディア「C?CHANNEL」でも縦長動画を採用。C?CHANNELでは、クリッパーと呼ばれるモデルやクリエイターが、動画でファッションやメイク、フード、トラベルなどのトレンド情報を発信していますが、開設1カ月半で100万PVを達成したという人気の理由として、「スマホで自撮り写真やコーディネート写真を投稿し慣れている若い女性たちには、縦型動画のフォーマットが馴染みやすかったことが大きい」と言われています。
このようにスマホユーザーを意識したメディア作りにおいて、もはや縦長動画は重要なポイントになっていると言えます。
ソーシャルメディアも縦型動画に対応
動画シフトが一気に進みつつある各ソーシャルメディアも、縦型動画に対応しています。Facebookでは、タイムライン上では正方形表示ですが、タップすれば縦型動画を全画面表示にすることが可能。また、従来は画像や動画の表示は正方形のみだったInstagramも、縦方向での表示に対応しています。
LINEでも、公式アカウントで利用できるリッチメビデオメッセージという機能で縦型動画を推奨。2016年6月からは少額でも出向できる運用型広告も開始すると発表されています。中小企業や店舗経営者なども動画広告を利用しやすい環境が広がりそうですが、その際には、縦型動画がひとつのポイントになりそうです。
縦長動画で可能になるクリエイティブ事例
縦長動画には、ただ縦型にするというだけでない新しい可能性があります。横方向では難しかった表現が可能になる他、スマホでは全画面表示になるため、その世界に没頭しやすく臨場感を感じさせる動画を作成できます。
ここでいくつか縦長動画をご紹介しましょう。縦長動画はスマホデバイスで見ることでその魅力を感じることができますので、ぜひスマホからご覧になってみてください。
縦方向のレイアウトを活かした動画
まずご紹介するのは、縦方向のレイアウトを活かした2つの動画です。どちらも縦方向に全画面で表示された時に見やすさを感じる企画になっています。
縦ならではのクリエイティブ動画
さらに進んで、見せ方の工夫次第では、横長動画にはない興味性を生みだすこともできるのが縦長動画。次の2つの動画は、魅力的なクリエイティブ事例として多くのメディアでも紹介されたものです。
特に、リリカルスクールの縦長動画では、動画のクリエイティブにひっかかってしまって、動画を視聴しながら、つい画面をタップしてしまう人が続出。「スマホがジャックされたようだ!」と各所で大きな話題なりました。このようなスマホでの全画面表示を上手く活用した縦長動画は、スマホ時代ならではのクリエイティブとして、これからの動画作成の大きなポイントになりつつあります。
今回のまとめ
- スマホでの動画視聴が増えるにつれて、縦型の動画が増加。
- 動画系のメディアはもちろん、ソーシャルメディアも縦型動画に対応。
- スマホでは全画面表示となることを活かした、縦型動画ならではのクリエイティブも出てきている。
このように、ただスマホで見やすいというだけではなく、話題性の高いコンテンツを作成することにもつながる縦型動画。広告でも縦を意識した動画の出稿が増えてきそうです。トレンドとして、押さえておきましょう。
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