検索エンジンで何かを調べている時、結果画面に動画が出てくることが、以前よりも増えてきたような気がしませんか?動画コンテンツを含むページは検索結果で優遇されるようだ…ということで注目されるようになったのが、動画で検索結果での上位表示を狙う「動画SEO」です。従来のようなパソコンでの検索だけではなく、スマートフォンやタブレットでの検索に比重が移ってきていることも、動画の重要度を押し上げています。
今回は動画SEOについてまだあまり詳しくない方のために、動画SEOとはどのようなものか、また現状や今後の見通しなどについて書いてみたいと思います。
動画は検索エンジンで本当に優遇されるのか?
トップ画面表示の確率が最大53倍になるというデータも
アメリカの調査では、「動画を含んだWEBページは、含んでいないページに比べ、Googleの検索結果の1ページ目に表示される確率が最大53倍になる」というデータがありました。さらには、検索結果に動画のサムネイルがあると、クリック率が上がるとも言われています。WEBでの集客のために、日々SEOに頭を悩ませている方々にとっては、まるで夢のような話だと思いますが、こうした話題が動画SEOへの注目につながっています。
テキスト情報が無い動画が、なぜSEOに有効?
しかし中には、「なぜ動画なのにSEO効果があるのか?」と、疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。確かにSEOの基本はテキスト。検索エンジンのクローラー(巡回ロボット)に認識されるためには、テキスト情報が必要です。それなのになぜ動画が有利なのと言えば、動画コンテンツにも「タイトル」「説明テキスト」「タグ」といったテキスト情報が存在するからです。
実は動画SEOでも、クローラーに読まれているのはそれらの文字情報。また、動画を掲載しているページ内のテキスト情報も参照されています。これもアメリカでの調査になりますが、動画制作会社が行っている動画SEOへの主な取り組み内容は、ほとんどが、これらにかかわるものになっています。その他に行われている施策も、Googleに動画サイトマップを送ったり字幕データを付けたり……、といった対応です。つまり極端に言えば、現在のところでは、動画の中身そのものではなく、それに付帯する情報(メタ情報)が検索結果に影響を与えているのです。
動画コンテンツの上位表示に影響するその他の要因
ニッチなキーワードほど動画が表示されやすい
その他、検索結果に大きな影響を与えていると思える要因のひとつにキーワードがあります。例えば「キッチン 掃除」というキーワードで検索してみると、1ページ目には動画コンテンツらしいものは出てきません。次に「シンク 掃除」で検索してみます。
今度は、1ページ目に動画コンテンツが出てきました。「シンク」とはキッチンの流し部分のことですが、シンクというパーツを表す言葉で検索する人はそう多くはいないでしょう。このようなニッチなキーワードでの検索ほど、動画を含むページが検索上位に表示されやすい傾向があるようです。
やはり強い?YouTubeの存在
そしてもう一つの注目はURLです。上記で結果表示された動画も「www.youtube」、つまりYouTubeに掲載されています。ネット検索を普段使っている中で、動画が検索結果上位に出てきた時、そのほとんどがYoutubeだったことに気づいている方も多いはずです。YouTubeはGoogleのグループ会社。検索結果にそのことがどの程度影響しているのかは定かではありませんが、少なくとも現時点ではYouTubeを使っての配信が動画SEO上では有利なようです。
ただし、無料で便利なYoutubeにも、自由度が効きにくい、仕様変更が頻繁に起こるなどのデメリットはあります。Youtube以外の動画配信システムも検索エンジンに評価されることを研究し、改善に取り組んでいるようです。動画SEOのためには、そのあたりの情報も細目にチェックしておきたいところです。
検索エンジンの動画評価ロジックは、まだ発展途上だが…
一度、動画SEOに関するここまでの話をまとめてみましょう。
- クローラーに読み込まれるのは主にタイトルなどの関連情報
- ニッチなキーワードで上位表示
- YouTubeへの掲載が有利
このように検索エンジン側のロジックは、まだ従来のSEOの延長上にあり、動画コンテンツの中身そのものを重視しているわけではありません。つまり、必ずしも検索ユーザーのニーズに適合する内容の動画を表示できているわけではない、ということになります。しかしながら、それが今後も続くのかと言えば、そうではないと思われます。
当初は非常に荒いロジックで運営されていた検索エンジンですが、驚くべきスピードで進化してきました。もはや一時しのぎのSEO対策では効果が出せなくなり、スパム行為には強烈なペナルティも課せられます。検索エンジンのこうした過去から学べば、動画コンテンツでも、きちんとしたSEO対策を最初から考えておくべきだと言えるのではないでしょうか。
動画SEOでも価値あるコンテンツ作成が重要
検索エンジンが好むのは「良質なコンテンツ」。そして、良質なコンテンツとは、ユーザーにとって価値ある情報だということです。コンテンツが動画であっても、その基本コンセプトは変わらないはず。「良質で」「ユーザー視点での検索目的を推定した」「ニーズを満たす」動画コンテンツをつくることが、今後の動画SEOで成功を目指すための基本になると思われます。いろいろな過渡的テクニックは生まれるとは思いますが、最終的に重要なのは中身です。そのことは心に留めておいた方がいいでしょう。
また、いまのところ、検索エンジンのクローラーが動画の中身を認識できないことは確かですが、動画内の音声データをテキスト化する技術なども既に出てきており、Googleもどうやら、この技術を動画のクロールに使っていくようです。動画の中身そのものが検索エンジンに評価されていく日は、予想外に近いのではないでしょうか。
今回のまとめ
- Googleでの検索上位を目指す「動画SEO」。そのロジックはまだ未整備な段階。
- Youtubeを配信に使った方が現在では有利。
- 今後は、コンテンツとしての動画の中身(質)が評価されるようになるだろう。
動画SEOでも、最終的にはコンテンツ重視されることは方向性としては間違いないはずです。これまでのSEOの流れを振り返れば、そのことに同意しない人は少ないのではないでしょうか。過渡期的な対応は必要かもしれませんが、大切なことは、今のうちから中身やテーマにこだわった動画コンテンツを多く作っておくこと。それが、後々の成功につながっていくと思われます。