WEBからより多く集客するためには、できるだけ幅広い層に伝わる表現をすべき。これ、正解だと思いますか?意外とそのように思い込んでいる方が多いのですが、答えはNoです。それでは、結果的に誰にも響かないメッセージになってしまいます。集客を目的とするインバウンドサイトでは、対象顧客をできるだけ絞り込んで、その心にグッと刺さる表現をした方が圧倒的に高い効果が生まれます。
そこで今回は、顧客の絞り込みによく使われるペルソナという手法をご紹介しながら、ターゲティングの重要性についてお話したいと思います。
ペルソナは、人格を持つ架空の顧客
ペルソナは、顧客像を明確化するためのマーケティング手法。インバウンドサイトの制作でもよく利用されます。例えば、「30代の子育てママ」「アクティブシニア」「中小企業経営者」などといった大雑把な設定や、「私が顧客だったらこう感じるはず…」と自分の主観でターゲットを推測してしまったのでは、十分な成果を生むことができません。このような場合に有効な手法が、ペルソナの作成です。
ペルソナとは、ひと言で言えば、自社の顧客を象徴する架空の人物像です。特徴は、そのリアルさにあります。年齢・性別・居住地・家族・年収などの基本属性から始まって、学歴、職歴、資格などのキャリア、趣味や性格、ポリシー、生活スタイル、ワークスタイル…などなど、まるで実在する人物がいるかのように感じられるまで細かく設定し、いわば人格化して行くのです。「あぁ、こういう人いるよね!」と、身近に感じられるようなキャラクターになれば成功です。
ペルソナの語源は「仮面」という意味で、心理学の分野から提唱された概念。それが、製品開発やマーケティング分野でも成果を挙げ、手法として一般化しました。集客やマーケティングに成功している会社は、実はペルソナを活用しているということが案外と多いのです。ぜひ、お試しいただきたいと思います!
ペルソナの一般的なつくり方
ペルソナづくりのポイントは、情報に基づくこと。何も情報が無いところから想像で分析するのではなく、データやヒアリング結果をもとに作成していくことです。やり方はそれぞれでアレンジしてもいいのですが、参考として一般的な流れをご紹介しておきましょう。
STEP1:ターゲット顧客を設定
まず、ターゲットにしたい顧客セグメントを検討。オープンデータや自社の顧客データや実績データなどをもとに、コア・ターゲットを決めていきます。
STEP2:ユーザーインタビュー
設定した顧客セグメントに該当する人物を数人選んで、インタビューを実施。年齢、居住地、仕事内容等の基本情報だけでなく、生活スタイルや考え方、悩みや不満などの感情面も深くヒアリングします。
STEP3:グルーピング
インタビューから得た「事実」を書き出して、グループ分けを行います。一般にはKJ法という方法で、付箋を使って進めます。例えば、「ネットはスマホとパソコンとタブレットで利用」「スタート画面はGoogle」などと書かれた付箋を「ネットの利用スタイル」のグループとしてまとめる……といった感じです。
STEP4:ペルソナのまとめ
グルーピングした情報もとに、人物像に落としこんでいきます。通常は1枚のペルソナシートに、基本属性や生活スタイル、考え方などをまとめます。名前を決め、イメージに合う人部写真を貼り込んで完成!このようにして、架空のペルソナにキャラクター性をもたせることで、よりターゲット像を明確にしていくのです。
便利ツールの紹介
クラウド型消費者分析ツール「ぺるそね」
分析データが不足している時に活用できる便利ツールをご紹介します。ターゲットとなる人たちの行動やライフスタイルがわかる消費者分析ツール「ぺるそね」です。年齢、性別等の基本属性の他、よく行くお店や関心のある商品、好きなブランドなど、消費行動に関わる調査データが蓄積されていて、知りたい消費者の実像を分析できるようになっています。自分でいろいろ条件を設定して、グラフなどでわかりやすく見ることができます。無料で使えるプランもあり、以下のページに動画での使い方説明もありますので、よろしければ活用してみてください。
http://www.perso-net.jp/about.html
パワーポイント・フォーマット
ペルソナシートペルソナシートのフォーマットが上手くつくれない時には、このようなものを利用してもいいかもしれません(解説付き・有料)。
http://www.dlmarket.jp/products/detail/214570
インバウンドサイトのターゲティングにペルソナを活用する
ペルソナができたら、それを実際に活かしていきましょう。例えば、「鈴木さん(仮名)」というペルソナができたとすると、「鈴木さんは、どのようなコンテンツが欲しいだろう?」「どんなキーワードで検索するか?」「どこでいつ、このサイトを見るのだろうか?」「鈴木さんの心を揺さぶる表現は?」「鈴木さんが、資料請求ボタンを押す時の決め手は何?」などと考えて行くわけです。スタイルや価値観まで設定されたペルソナがあるからこそできる発想法です。
ペルソナで顧客像を明らかにできれば、対象者のIT活用度や知識レベルも明確になるので、使う文言も自ずと決まってきます。例えば当社のサイトでも、ペルソナをつくって顧客像を分析した結果、集客型サイトを表す言葉として「インバウンドサイト」という表現を使うのが最も訴求力が高いと判断しました。SEOキーワードの設定やランディングページの切り口なども、同じようにして決めて行くことができます。
また、集客でいい結果が得られない場合にも、設定した人物に戻って見直せばいいので、ペルソナがあれば検証の基準も明確。PDCAサイクルをうまくまわして、成功への好循環を得ることができるようになります。つくってからが始まりのインバウンドサイトで、ペルソナは、いわば「サイト成長のためのパートナー」と言ってもいいかもしれません。ぜひ、上手に活用していただきたいと思います。
今回のまとめ
- ペルソナは、顧客像を明確化するための伝統的マーケティング手法。インバウンドサイト制作でもよく利用される。
- ペルソナは、データやインタビューから得られた事実をもとに作成する。
- ペルソナというフィルターを通して考えることで、顧客視点を徹底できる。
何度も繰り返しになりますが、訴求力の高いインバウンドサイト制作のツボは、対象をとことん絞り込むことです。極論すれば、ある一人に向けて表現するくらい徹底した方が効果的です。ペルソナから顧客像を描き出し、その人の心に響き、「探していたのは、これだ!」と強く思ってもらえるような表現を突き詰めていけば、成功への道が見えてきます。当社自身も、そう思ってもらえるように、常にペルソナの再確認や見直しを行っています。