あなたは最近、地元情報が検索上位に出ることが多くなったと感じることはありませんか?それは、Googleの「ベニスアップデート」の影響によるものです。
ベニスアップデートとは、検索ユーザーの現在地(検索時にいる場所)に関連する情報が検索結果で優先表示されるようにするGoogleの仕様変更の名称。2012年にまずはアメリカで導入され、2014年の12月頃から日本でも地域による変動が見られはじめました。2015年1月には、日本語検索にもこのアップデートが導入されたとして話題に…。今日は、まだあまり馴染みがないという方のために、ベニスアップデートとは何かについて、また今後のSEOへの影響などもまとめてみたいと思います。
ベニスアップデートとこれからのSEOへの影響
ベニスアップデートとは
ベニスアップデートとは、検索した人の現在地に合わせて、近隣のお店などを上位表示させるようにするGoogleのアルゴリズム変更のことを言います。「病院」「歯科医院」「法律事務所」「レストラン」「カフェ」「エステサロン」など、ちょっと考えただけでも、地域への依存度が高いキーワードはたくさんありますよね。このようなキーワードでの検索が、ベニスアップデートの影響を受けることになります。
例えば東京都品川区在住の人が「歯科医院」と検索すると、品川区周辺にある歯科医院のサイトが上位に出てきますが、沖縄県那覇市在住の人が同じく「歯科医院」と検索した場合には、品川区周辺の歯科医院の情報は表示されず、那覇市周辺にある歯科医院のサイトが上位表示されます。このように、ベニスアップデート後には、同じ言葉で検索しても、検索者がいる場所によって検索結果、検索順位が異なるという状況が生まれるのです。
ユーザーにとっての変化
ベニスアップデート導入以前は、グルメやサロンなどに関するキーワードで検索した時に、大手の全国版サイトが上位表示され、ローカルサイトは表示されにくいという問題がありました。しかし、このベニスアップデートによってそんな状況が改善。検索者の現在地と関連した情報、つまりよりユーザーに適した検索結果が表示されやすくなりました。
アップデートで企業が受ける影響
SEO専門会社はこれまで、順位チェックツールを使ってクライアントのサイトの順位を確認してきました。ところが、ベニスアップデートによって、検索する場所によって表示結果が異なるようになると、その正確性が危ぶまれるようになってきます。
今後、現在よりもさらに高い精度でベニスアップデートが実施されるようになると、SEO会社はこれまでの対策を変更しなければならない局面に立たされる可能性があります。また、専門業者にSEO対策を任せている企業だけでなく、社内や個人でSEO対策を行っている場合も、このアップデートの影響を受けることになるため注意が必要です。
今後、必要な対策とは?
ベニスアップデートへの対策として、「ローカルSEO」の強化が挙げられます。ローカルSEOとは、通常のウェブ検索でのSEO対策とは別に、近隣で行われた検索に絞った上位表示対策を施すSEOのこと。ベニスアップデートを経た現在、自社のサイトを上位表示させるためには自社がどのようなビジネスをしているのか、どこでどのような店舗を運営しているのかなど、より詳しい情報を検索エンジンに伝える必要が出てきました。
以下に、先ほど例を挙げた「東京都品川区の歯科医院」の例でご説明していきましょう。
1.サイト内で事業内容を明確に伝える
まずは、ホームページが「東京都品川区の歯科医院」のものだとGoogleに認識させなければなりません。そのため、事業内容と地域に関するキーワードを明確に記載しておく必要があります。「東京都品川区二葉町の歯科医院」などとより詳しくすることで、その地域にいるユーザーに対して上位表示させやすくなります。
コンピューターはページに記述されている情報を基に様々な判断をしているため、「飲食店」や「洋服店」など間違ったカテゴリに分類されないよう、「病院」「歯科医院」「歯医者」などのキーワードをきちんと含めておくことが重要です。
2.ホームページに所在地を載せる
所在地は、明確に示すようにしましょう。所在地を示すための簡単な方法は、住所や電話番号、アクセス方法、地図などの情報を掲載すること。具体的な注意点としては、次のようなことが挙げられます。
- titleタグやmeta情報に地域名を入れること
- 記載する全てのページで、名前や住所、電話番号(Name・Address・Phoneの頭文字をとってNAPと言われる)などをきちんと統一させること
3.地域情報についての詳細なコンテンツを作る
地域情報に関するコンテンツを掲載することは、様々なローカルSEO対策の中でも特に高い効果が期待できる施策の一つとされています。先ほど説明したtitleタグやNAPは、いわば基本中の基本であり、ほとんどのサイトで記載されています。競合サイトが多い場合は、そのようなタグで行う対策だけでは上位表示が難しいため、地域に関わるコンテンツを充実させることが重要となります。
ローカルSEOを進めるために…
以上ご説明した、地域名を含めたtitleタグやNAPの記述の他、ユーザーに有益なサイトであると思ってもらうためのディスクリプション(説明文)の作成も重要です。PCでは100文字から120文字程度ですが、近年ではスマートフォンユーザーの拡大にも対応するため、60文字程度の文章も必須となっています。
さらには、構造化データの導入で、検索エンジンに情報をより詳しく、正しく伝えることも効果的です。
構造化データを導入する
構造化データとは、情報の持つ意味を検索エンジンにより明確に伝える手法です。これを導入することで、検索結果画面に「リッチスニペット」と呼ばれる多くの情報を表示させることができるようになります。その代表的なものには「レビュー」や「商品」「パンくずリスト」「レシピ」「動画」などがあります。ユーザーは、検索結果の中でこれらの情報を確認できるため、クリックされる回数の増加が期待できます。例えば、レビューによって一目で評価を知ることができますし、パンくずリストを見ればそのサイトにあるコンテンツがわかりやすくなります。
ローカルSEOでも、NAP情報を初めとする情報を構造化データでマークアップすることは効果的。HTMLでマークアップする方法が主流ですが、データハイライターなどのツールを用いて、より簡単に構造化データを導入することも可能です。
今回のまとめ
- ベニスアップデートとは、検索者の現在地に合わせ近隣店舗などを上位表示させるようにするGoogleの仕様変更のこと。
- ベニスアップデート後、上位表示のためにはローカルSEO対策が重要になってきた。
- titleタグやmeta情報、NAP表記の統一などと合わせ、地域コンテンツの充実も重要。構造化データの導入も効果的。
ローカルSEOは、従来からあるSEOの一分野ではありますが、ベニスアップデートによって注目が高まり、より多くの企業や店舗などが意識するようになってきそうです。今後、ベニスアップデートの精度がより高まる可能性もありますので、動向にも注意してください。