「プッシュ型の”オウンドメディア”、メルマガを最大限に活かすポイント」では、メルマガが今も非常に効果的な「プッシュ型」メディアだというお話をしました。では、WEBマーケティングでメルマガをより効果的に活用していくためには、具体的にどういったポイントを意識すればいいのでしょうか。
個別の戦略としては様々なやり方が考えられると思いますが、今回はメルマガ強化ポイントの「ベーシック編」として、あらゆる業種や事業者に共通して必要となる、基礎的な二つのポイントについて解説していきたいと思います。
これをさぼったため!?メルマガ離れの理由
メルマガはなぜ、読まれなくなったのか
「メルマガが効かない。」そう言われるようになって久しいですが、「効かなくなった」のは、「読まれなくなった」ためです。受信メールの数が多すぎて埋もれてしまう、あるいは勝手にスパムフォルダに入ってしまうなどという場合もあるでしょうが、いちばん大きな理由は、他にも様々な情報源がある中で、ユーザーがわざわざ時間を取って読む価値を感じなくなったということです。
現状を客観的に見ていく上で良いデータがありましたので、ご紹介します。以下のデータは、メールマーケティングを提供するメルラボによる「メールマガジンに関する意識調査2014」の結果を引用させていただき、当社で少し編集したものです。
ご覧の通り、ダントツで多いのが「興味のない広告宣伝が多い」という回答です。懸賞目的だけで登録したものなど一部を除き、メルマガは商品購入やサービス申込みと一緒に、または自発的に登録をすることが多いはずですが、それにもかかわらず「興味がない」と切り捨てられてしまうのは「ユーザーの関心に合っていない」からです。
問題は意識と運用の仕方にある
このようなミスマッチが起こるのはメルマガを登録者全員に一斉送信、ないしは男女別など基本属性程度に分けた配信しかしていないため。メルマガ本来の「One to Oneマーケティング」の強みを生かしきれていないことが、結果としてユーザーのメルマガ離れを引き起こしているのです。つまり、メルマガ離れはメルマガというメディアが時代に合わなくなったせいで起こったのではなく、事業者側の意識と運用方法に問題があると言えます。
少々厳しい言い方になったかもしれませんが、ガッチリとセグメンテーションをしてメルマガを配信できているところは、実はまだ多くないのです。ですから、今できていないからといって落ち込む必要は全くありません。逆に、この機会にきちんと取り組んでいけば、挽回のチャンスは大いにあります。
そこで次に、セグメンテーション配信を行うための準備についてご紹介していきます。これを参考に、ぜひさっそく取り組んでみてください。
セグメント配信のための環境、体制整備
セグメンテーションに基づく配信を行うためのひとつめのポイントは、データの整備です。具体的には、次の2点が必須になります。
1.顧客データベースで、セグメント用の情報を整える。
2.作成した配信リストに対して、配信できる手段を用意する。
1.セグメント用の情報を整える
送信対象者のセグメントを行うためには、送信対象者のデータベースを整備していく必要があります。まずは商品購入やサービス利用などの履歴データとマッチングさせていきましょう。ユーザーの実際の行動履歴と組み合わせるので、成果が出やすくなります。
ユーザーのインサイトに切り込んでいくためには、より多くのデモグラフィック属性を持っておくことも必要です。本来的には、データベースの設計段階から必要な情報を集めていくことが望ましいのですが、多くの場合、項目漏れがありがちです。また、過去からのデータを引き継いできているなどの事情で、必要な情報が揃っていないことも多いでしょう。あるいは、最初からたくさんの情報を聞くと登録者が減るので…などということもあるかもしれません。
そんな時には、後追いで情報を追加していきましょう。登録情報の確認キャンペーンとしてデータの確認をしてもらうとともに、追加情報を収集するのです。インセンティブが必要となってきますが、これは成果を出すための必要経費として考えましょう。
2.配信手段、体制を整える
セグメンテーションされたメール配信のためには、以下の両方が必要になります。
- セグメント別のコンテンツ(テキスト原稿またはHTML)
- セグメント配信が行える配信ツール
配信リストを頑張って10種類作成してみたものの、原稿作成が追い付かなかった…などということになったのでは意味がありません。メルマガの弱みは、運用にそれなりに手数がかかるということです。それを念頭において、体制やコスト面から考えて可能な範囲でセグメントを行ってみましょう。中小規模であれば最初は3種類程度から始めて、成果を見ながら改善していくという取り組みで十分だと思います。
メルマガでも必須の「スマホ対応」
次に、もうひとつの準備ポイントとして挙げておきたいのが、スマホ対応です。WEBサイトの制作では、「モバイルファースト」という言葉が定着しています。さらに、スマホへ対応状況を検索順位のアルゴリズムに影響させるというGoogleの発表が追い風になり、最適化が加速傾向にあります
このようにスマホが閲覧環境の中心となっているという状況は、実はメルマガも同じ。2年以上前の調査で既に、メルマガを読むデバイスとしてスマホがパソコンを上回っているという結果が出たものもありましたから、むしろ、その傾向はWEBサイトに比べ一層強いと言えるかもしれません。
具体的なメルマガのスマホ最適化をどう考えるかということですが、実は、実際のユーザーはそれほど不満やストレスを感じてはいないとも言われています。ただ時々不備のあるメルマガが届くことがあり、それらが悪印象として残りがちな傾向があります。特に起こしやすいマイナス要因として、次の点は押さえておきましょう。
<スマホ受信を意識したメールの注意点>
- 横幅に注意。一部の機種では横スクロールバーも出て、大変不格好です。300pxのスマホ画面の閲覧を前提にすれば、600pxで作るのが最適になります。
- 文字が小さくて読みづらいというのも多い不満。最低でも15px以上を心がけましょう。
- URLが切れている、リンクが押しづらい、リンクと気づかないなどもよく出る不満です。画像の場合は縦横50px以上、周囲の幅は20px以上取るようにしましょう。
- 以上の点を実現するためには、1カラムレイアウトが最適。ただし長さに注意。長すぎると途中で切れてしまうリスクがあります。
- レスポンシブHTMLメールは運用効率面でも良い方法ですが、まだサポートされていないメーラーなどもあるため現状の最適解とはならないことも覚えておきましょう。
多くは主に制作者が気をつけるべきポイントですが、メルマガ担当者やWEB担当者は、これらを前提にした内容構成や原稿づくり、またでき上がってきたHTMLメールのチェックを心がけていきましょう。
フイーチャーフォン時代よりはメルマガ作成の負担は減ったような印象もありますが、実はキャリアメールを前提に作っておけば良かった以前に比べて、WEBベースのGmailやメールアプリなど閲覧環境が多彩になったことで、より困難になっているとも言えるのが現状です。制作者と協力して、ユーザーにとってより見やすいメールづくりに努めていきましょう。
今回のまとめ
- メルマガ成功のポイントは「セグメンテーション」と「スマホ最適化」。
- 配信用データベースを整備し、運用コストも考えつつセグメンテーションに取り組む。
- 技術面も意識しつつ、最適なアウトプットとなる原稿づくりと構成をめざす。
メルマガにかかわらず、WEB広告やWEBマーケティング全般において、よりきめ細かなターゲティングが、大きなキーワードになっているように感じます。そのような視点から見れば、メルマガの可能性も変わってくるのではないでしょうか。古くて新しいマーケティングツール、メルマガをみなさんもぜひ活用してみてください!
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