以前の記事「CVR336%アップの事例も!?手軽になったA/Bテストの基礎」でも少しご紹介したように、WEBマーケティングの代表的な手法「A/Bテスト」が大変身近なものになってきました。その背景には、A/Bテストのツールが進化して、とても使いやすく手軽になったことが挙げられます。
A/Bテストのメリットや基本的な意味については前回の記事をお読みいただくとして、今回は、中小事業者の方にも適したおすすめのA/Bテストツールを紹介していきたいと思います。これまで気になりながらできていなかった、そろそろうちでも…と思っている方は、この機会に、さっそく始めてみませんか?
A/Bテストは進化している
A/Bテストのツールが身近になっていると言いましたが、それには理由があります。これを読まれている方の中にはまだ、「A/Bテスト=複数のページ(html)を用意することが必要」と思っている方も多いのではないでしょうか。実際にリスティング広告のABテスト用に2つのURLを設定したという方や、Google Analyticsのウェブテスト機能を使用したという方もいらっしゃるでしょう。この場合を図に表すと、下記のようになります。
しかし、いま主流になっているのは、ページは1つで、テストしたい箇所のみA/Bテストの配信サーバーから、アクセスに応じて振り分けて配信するというタイプのものです。
この方式では複数ページの管理が要らず、テストパターンをいくら増やしたとしても1つのページで配信できるので、よりきめ細かいテストができるようになります。
こうした配信が簡単に実現できるようになったことで、ページ(html)の制作コストを気にせずA/Bテストが行えるようになったのです。この仕様は、テストパターン作成のうえでもポイントになりますので、ぜひ頭に入れておいてください。
中小事業者にもおすすめA/Bテストツール「Optimizely」
ではいよいよ、中小事業者に適した具体的なツールを紹介しましょう。現時点で、いちばんおすすめしたいのは
「Optimizely」というツールです。
キャッチフレーズは「世界No.1ツール」
Optimizelyは、“世界No.1ツール”というキャッチコピーのとおり、実際に世界シェアでトップになっています。ちなみに2位はAdobeの「Adobe Target」(Adobe Test&Targetを統合)ですが、これは高機能ではあるものの非常に高価で、「Adobe Marketing Cloud」などの形で他のソリューションとの組み合わせを基本に提供されています。WEBマーケティング予算を一定以上取れ、専任担当者を配置できるような大企業向けのツールと言えます。また設定が大変複雑ということもあり、Optimizelyへ乗り換える企業も多いようです。
Optimizelyをおすすめする理由
Optimizelyをおすすめする理由として、導入企業が多いという実績とともに、その高い機能が挙げられます。A/Bテストに必須の機能から応用的な機能まで、ほぼ全てが揃っています。もちろんスマートフォンにも対応。面倒な設定が必要なく、タグを追加するだけでテストが開始できるという手軽さも、このツールが支持されている理由です。
Google Analyticsやヒートマップツールとの連携も
また、他の分析系ツールと組み合わせて利用できるのも嬉しいポイント。最近はGoogle Analyticsとの連携に積極的です。またA/Bテストの分析をより効果的に行うために、最近はヒートマップとの組み合わせが注目されていますが、Optimizelyは「Clicktale」
「Pt engine」といったツールとの連結が可能になっています。Pt engineは値段が比較的安めですから、特に導入しやすいかもしれません。
無料のスタータープランが使える
そして、Optimizelyを中小事業者におすすめできるもうひとつの大きな理由が、無料のスタータープランが用意されていること。A/Bテストがどんなものか試したい、ツールをまずは理解したいという人にも最適なプランになります。もちろん他のA/Bテストツールと比較検討して導入を決めたい時も、ぜひ利用しておきたいプランです。
日本での展開、サポート体制も強化
これまでOptimizelyのデメリットとして、サポート面が挙げられることがありました。しかし日本での代理店展開、そして2015年春には日本法人も設立されるなど、本腰を上げて日本での提供を開始しています。当然サポートの質も強化されていくでしょう。スタータープランでは電話サポートが適用されないのが残念ですが、ツール導入の際にはこうしたサポート面の充実度もチェックしておきたいところです。
他にも気になる注目のツール
以上、現時点での一番のおすすめとしてOptimizelyを取り上げましたが、他にも気になるツールがいくつかありますので、簡単にご紹介しておきたいと思います。
VWO(Visual Website Optimizer)
ひとつめは
「VWO(Visual Website Optimizer)」
というツール。Optimizelyと最もよく比較されているものです。
印象としては「ジェネリックA/Bテストツール」というところでしょうか。最近は医薬品以外の分野でも、ジェネリック家電などという造語が現れていますが、ジェネリックツールとはいわばブランドに捉われないツール群のこと。米大統領オバマの選挙戦に使われたというブランドストーリーを持ち、A/Bテストの力を世に見せつけたOptimizelyに対し、VWOは機能重視のインド製。余談ですがジェネリック医薬品もインドで多く作られていて、そのイメージが一層だぶってきます。
“世界シェア第2位”を大々的に謳っている点も、Optimizelyをかなり意識してのものと考えられますが、実際の機能比較でも大きな差異は見られず価格も抑えられています。他のツールを連結させることなくヒートマップが使えるなどといった点では、より一層中小事業者に使いやすいツールになっていると言えるかもしれません。
Gyro-n ABテスト
また
「Gyro-n ABテスト」
も価格面を考えるとチェックしておきたいツールです。気になるのは多変量テスト(複数条件の組み合わせによるテスト)に対応していないという点ですが、果たして多変量テストを行い分析までがきちんと行えるところがどれほどあるか…と考えれば、気にする機能ではないかもしれません。
なお、これらのツールは日本でまだ本格的に提供され始めたものも多いため、引き続き調査していきたいと思います。気になる点については
質問を頂ければと思います。
今回のまとめ
- 1ページでテスト箇所だけ差し替え配信できるツールが、A/Bテストを身近に。
- 中小事業者には高機能で手軽、実績もある「Optimizely」が今最もおすすめ。
- VWO、Gyro-n ABテストなどの新しいツールにも注目。
集客力を高めるためには、継続的な効果検証と改善が重要です。手軽にテストが行えるツールを利用して、軽いフットワークでA/Bテストを行ってみてください。
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