以前の記事でも何度かご紹介した、Googleによる「スマホへの対応状況を検索結果順位に反映させる」というアルゴリズム変更、いわゆる「モバイル フレンドリー アップデート」がついに2015年4月21日から開始されました。
それから約3週間が経過しましたが、現時点で、アップデートの実際の影響をみておきましょう。合わせて、アップデート対応のために行っておきたいことや、これから起こってくるかもしれないことにも触れてみたいと思います。
アップデートの影響は、大山鳴動して鼠一匹?
現状では微細な変化止まり
Googleでは珍しい大々的な事前アナウンス、しかも全世界規模での同時実施ということで、今回のアップデートはこの春のWEBマーケティング界隈で最大級の話題に。モバイル検索での大変動を表す「モバイルゲドン」などという造語も生まれました。しかし、現時点では、実際にはそれほど大きな変化は見られていないようです。
自身がかかわるサイトでの影響を検証し自主的に公開してくれるという、WEBらしい情報提供をしてくれたサイトも多数見られました。中にはスマホの検索順位の変動についての詳細なレポートを公開しているものもありましたが、それらを見ても、いずれも微細な変化止まり。反映までの時差も見込んで時期をずらせて検証している場合でも、それほどインパクトのある結果は現れていないようです。
今回のアップデートのおさらい
ここで今回のアップデートの内容を、今一度、アップデート開始当日のGoogleウェブマスター向け公式ブログより抜粋して整理してみましょう。
- 携帯端末での検索の掲載順位にのみ影響する。
- 世界中のすべての言語で検索結果に影響する。
- ウェブサイト全体ではなく、個々のページが対象となる。
今後の動向をチェックする際には、まず、携帯(スマホ)の検索結果のみに影響が出て来るという点に注意してください。意外と、パソコンでのみ順位をチェックして安心している人が多いようです。
サイト全体ではなく個々のページに注意
また、サイト全体ではなく個々のページ単位ということで、思わぬページに影響が出ている可能性があります。「普段は、個々のページ別の流入までは気にしていない」ということも多いと思いますが、特定のページとキーワードの組み合わせからの流入が減ると、全体のアクセスが大きく凹んでしまうという場合も少なくありません。ツールなどをうまく利用して、重要なページやキーワードについては、個別にこま目にチェックしておきましょう。
今後のさらなるアップデート対応のために…
影響は思いのほか小さかった今回のアップデートですが、この先はわかりません。備えあれば憂いなし。最低限やっておかないといけないことを、再度紹介しておきます。
テストをまだ行っていない場合は必ず実施を
今回の発表前から無料、有料を含め多くのツールやサービスが提供されていますが、そうしたものを使う前に必ずやっておきたいのが、Googleが提供するオフィシャルなテストツール
「モバイル フレンドリーテスト」。パソコン上で手軽に行えますので、必ずやっておきましょう。
モバイル フレンドリーテストの画面に、テストしたいページのURLを入力して“分析”ボタンを押すだけの簡単操作で、チェックが開始されます。
モバイル最適化ができていない場合は理由も明示してくれます。端末での見え方や対応のヒントなども表示されますので、それを参考に対策を行いましょう。トップページなどだけではなく、複数のページでテストをするようにしてください。
サイトによっては、意図してスマホ対応させていなくても最適化されたページと判断される場合もあります。例えば、もともと1カラムで、年齢が高めのユーザーを想定してフォントサイズを大き目にしていたあるページでは、スマホ閲覧を考慮した特別な対応はしていませんでしたが、問題無しとされました。結果としてページ自体がスマホ向きになっていれば大丈夫なので、未対策のサイトであっても、まずはテストしてみましょう。
他の設定が影響する場合もあるので注意
注意したいのは、ページ自体は最適化されているのに、他の設定などがアルゴリズムに影響を与える場合もあること。
例えば右の例の場合は、テストによって、クローラーに読み込まれないように一部のファイルがrobots.txtでブロックされていると指摘されています。このように、それ自体は悪いことではなくてもGoogleのアルゴリズム上でマイナス評価がされる場合がありますので、その点は注意が必要です。
またGoogleウェブマスターツールの「モバイル ユーザビリティレポート」で状況を把握するのも有効な手段です。今回のアップデートはペンギンアップデートと違い、内部対策のみで改善できますので、最低限このチェックは行っておきましょう。
これから起こってくるかもしれないことは?
ちょっと拍子抜けといった感じもする今回のアップデートですが、油断をしてはいけません。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」などと言いますが、まだ喉元どころか、料理が目の前にやって来たぐらいの段階。どれぐらい熱いのかもまだわからない、という受け止めが必要です。
日々進化するのがGoogle。おそらく今回のアップデートがこのまま終わる、ということはあり得ないと思われます。近いうちに起こるであろう予測としては、次のような可能性が考えられます。
- スマホでの検索順位が予告通り大きく変動する。
- 検索順位の変動はやがてパソコンでの検索順位にも影響を与える。
- リスティング広告(Google AdWords)の品質にも影響が出る。
パソコンとの連動については、「デバイスを変えても、一貫したユーザー体験を与える」というのが現在の大きな流れですから、やはり連動してくる可能性は大きいと思われます。また、Google AdWordsに関しては、既に広告へのモバイルフレンドリーラベル表示のテストが開始されているという裏付けがあります。このような事態がどの程度の速さでやってくるのかはわかりませんが、おそらくそれほど先の話ではないと思われます。
今回のまとめ
- 2015年4月21日のアップデートによる影響は現在のところ軽微な様子。
- モバイル フレンドリーテストでのページチェックは必須。
- モバイル最適化はこれからが本番と考え、引き続き対応していくことが大切。
Googleの収益源である広告ビジネスという視点から考えても、モバイル重視はさらに強化されるはず。モバイルフレンドリー対応はこれで終わったのではなく、これから本格的に始まると思っておいた方がよさそうです。
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