webサイトの制作をご検討中の皆様に、制作する側・発注される側の目線からいい制作会社の選び方を考えてみました。おそらくこのブログを読まれてる方はある程度webに関するリテラシーをお持ちだと思いますので、ここでは基本的なことは割愛し一歩踏み込んだ視点で制作会社選びのポイントをまとめたいと思います。
本当にいいサイトは発注するための6つのポイント
制作実績からデザイナー・ディレクターを選ぶ|【ポイント1】
そもそもなぜデザイナー選びが重要かというと、例えばその会社に5人のデザイナーがいるとしましょう。その時この5人のデザイナーの技能レベルは均一ではなく5段階のバラつきがあると考えるべきです。もちろんデザインする案件によって得意不得意もありますが、かなり尖ったデザインでない限り、デザイナーのレベルがそのままサイトのクオリティに反映されることになります。制作実績に掲載するサイトを一定の水準を上回る“いい作品”だけに絞り込む制作会社もありますが、それでもどのサイトを制作したデザイナーが自身のサイトを制作する担当になるかはサイトの完成度にとって重要な要因となります。
デザイナーを見極めるポイントは営業担当(ディレクター)の方にその会社の代表作品を2~3件聞いて、それを作ったデザイナーを指名すれば間違いないはずです。
それと同様に担当ディレクターも選ぶという視点が必要です。もし、あたなが依頼側の窓口になって、制作会社とやり取りするなら、担当ディレクターと10~20回程度のメールや電話のやり取り、数回の打ち合わせを行います。スムーズに物事を進めれる方とそうでない方では、降りかかる負担は大きく違います。ディレクターを見極めるポイントは発注までのやり取りしかありません。行き違いがない方、ニーズを先読みしてもらえる方を選んで下さい。
以上のことから、制作実績を見て自分のイメージに合うサイトを担当したディレクターとデザイナーを指名する――これはよりよい結果に大きく近づく方法です。
制作費用の「根拠」を明確化する|【ポイント2】
最近はあまり見かけませんが、「制作一式 100万」のような一律料金制をとっている制作会社とは必ずトラブルになると思って下さい。エムハンドではサイト制作はタクシードライバーと同じだと思っています。つまりタクシーは走行した距離に応じて料金が決まります。同じくサイト制作も「○○時間かかるから○○円」と時間に応じて料金が決まるのが分かりやすと考えます。
料金の根拠はこのような「時間単価ベース」や、1ページあたり〇円という「ページ単価ベース」のどちらでもいいのですが、サイト制作は当初の見積もりどおりの仕様で完成に至るとは限りません。もし制作途中で仕様変更があった時も料金に根拠があれば、「web制作会社」と「クライアント」間に制作費用に関する共通の認識が生まれますし、制作に関わる交渉がよりスムーズに進むでしょう。
制作費用の「根拠」を明確化する方法としては、制作を発注する前に「御社は1時間単価ではいくらで費用計算されてますか?」と聞いて見てください。そして、何か追加作業や完成後の修正依頼をするときに、「この修正は何時間ぐらいですか?」「〇時間なら時間単価〇円なので…」という交渉できれば、良いかと思います。
同じ業種の制作実績がある|【ポイント3】
制作会社(ディレクターやデザイナー)はサイト制作を手がけたことがある業種に対して、その業界の事情や市場状況をある程度理解してることが多いです。このため極端な例ですが、歯科医院のサイトを10サイト手がけた制作会社と作ったことのない制作会社とでは、打ち合わせ時などに依頼側にかかる労力の負担が大きく異なります。またそれまでに10サイトを手がけたという制作会社の経験が完成するサイトのクオリティにも大きく反映されるのは言うまでもありません。
とはいえ実績のない業種であっても市場調査やクライアントへのヒアリングから理解を深め、独自の視点でクリエイティブな結果を出せる制作会社(ディレクターやデザイナー)はたくさん存在します。ですので、もし依頼先を「A社にすべきか?それともB社か?」で迷った場合などには、デザインや料金だけではなく、その制作会社が携わった経験がある業種を判断の軸にしてみてもいいでしょう。
担当者にweb集客の経験がある|【ポイント4】
webで集客できるサイトの制作を検討されているなら、「担当者の集客経験の有無」はかなり重要なポイントになります。依頼側としては集客に携わったことのない担当ディレクターにwebサイトの制作を安心して依頼できないのではないでしょうか?
一般的なwebディレクターは集客サイトをたくさん作っていても、自身が責任をもち集客まで請け負った経験がある人は少ないです。この経験の有無は非常に重要です。例えばコンバージョンだけを意識して質の低い問い合わせを集めても、そのコンバージョンに対する打ち合わせ工数だけ膨らんでしまい、成約までの効率(手間)を考えると必ずしも正解とは言えません。こうしたケースに応じた的確な判断ができるかどうかは、結局のところ自分でとことん集客について考え、そして経験したことがあるか否かに関わってくるのです。
コーディングの精度を聞く|【ポイント5】
コーディングに関しては、制作会社にどれぐらいの時間をかけて作ってるか思い切って聞いてみるのも手です。
デザインの出来はサイトの善し悪しのわかりやすい判断基準として大きなウエイトを占めますので選考基準にされることが多いのですが、一方でコーディングのクオリティをクライアント側が問うことは少ないのではないでしょうか。しかし実はコーディングのクオリティは非常に重要なのです。
例えば最近だと構造化マークアップなどはコーディングの手間がかかるのですが、より効果的なサイト運営を行うために実施すべき施策のひとつです。また運営中に担当者が変わる場合など、わかりやすいコードが書かれていることも引継ぎの際に重要です。コーディングは目に見えにくく、すぐに効果がわからないような部分ですが、最終の工程としてSEOやユーザビリティの精度の向上を行う工程です。しっかり抑えておきたいポイントです。
依頼前に「御社はコーディングでどんなことを意識されてますか?」と聞いて見てください。
ビジネスの話しができるか|【ポイント6】
これは特にディレクターに必要なスキルですが、「クライアントの要望をどうまとめるか?」や「どんなデザインにするか?」などの表面的なところしか扱えないディレクターも多くいます。しかしやはりクライアントの業界用語に通じていて、かつ必要最低限の世の中の動き、政治、経済を理解しているといったビジネスの素養は必要かと思います。
例えば税理士をクライアントとする会計事務所のサイトを作る際に、「会計には税務と財務とがあり、それぞれがどういった業務内容なのか?」などをディレクターが理解していないと、エンドユーザーへの訴求力は落ちてしまうのです。
ここを確かめるには「最近何か本を読まれましたか?」なんて聞くと、その答えで少し見えるかもしれません。なんだか、採用面接に近くなってしまいますが…。
まとめ
サイト制作とは、数あるweb制作会社の中から依頼時は「かたち」のないものに発注をかけることです。そのため制作会社選びは非常に難しい選択になるかと思います。またすでに制作会社2~3社とお付き合いがある企業でも、従業員の面接のように制作会社を選考する基準を設けている企業はないと思います。
そこで制作会社を選ぶ方法、ひいてはよりよいサイトを制作するベターな方法としてお伝えしたいのは「一歩踏み込んで制作会社のことを理解すること」――こうした採用の面接のような基準がいいサイト作りには重要です。