4月21日に実施されたGoogleによるモバイルフレンドリーの大規模アップデート。その約3週間後にお届けした「【速報】Google“モバイルフレンドリー”のアルゴリズム変更、何が変わった?」では、ごく軽微な順位変動しか見られないようだ、という報告をしました。
約2か月を経過した現在、何か変化は起こったのでしょうか。調査データなどを元に、気になるモバイル検索への影響をチェック。合わせて、これに関して押さえておきたい情報もいくつかお届けいたします。
実は多く起こっていた!?スマホでの順位変動
モバイルフレンドリーの影響に関するデータとして、SEO分野に定評がある株式会社アイレップから、5月末にホワイトペーパーが公開されています。タイトルもすばり、「モバイルフレンドリーアップデートによる順位変動調査レポート」というもの。まずはそのデータを引用させていただきながら、内容を紹介していきます。
検索結果順位の変動
ひとつめの調査は「検索エンジン順位変動調査」で、パソコンとスマートフォンの検索結果データから、順位の変動状況を比較したもの。2015年3月15日から1ヶ月間、450キーワードについて毎日の変動が調査されています。
一般的には「ほとんど影響が出ていない」とされていたモバイルフレンドリーアップデートですが、この結果データで見る限りでは、アップデート実施の翌日にスマホ検索(モバイルと記載された赤色のデータ)では大きく順位変動が起こっていたことがわかります。
スマホ対応サイトの占有状況
もうひとつは、「スマホ対応サイトの検索結果占有状況調査」というもので、モバイル検索結果におけるスマホ対応ラベル表示サイトの占有状況を、時系列で調査したデータです。こちらは、4月7日から4月30日まで34キーワードについて調査されています。
これを見ると、変化の絶対数は少ないものの、アップデート後に検索結果でのスマホ対応サイトの占有率は高まっており、スマホ対応ラベルの有無が明らかに順位に関係していることがわかります。なお、スマホ対応ラベルとは検索結果画面に表示される「スマホ対応」の文字のこと。ご存じない方は、こちらの記事「スマホサイト整備に待ったなし!?Googleが「スマホ対応」ラベルの対応を開始!」も参考にしてください。
レポートでは他にも、キーワードにより順位変動が大きいものと小さいものがあることなどについて触れられており、傾向としては「指名系キーワードや事前に対策済スマホサイトの多い業界においては、あまり変化は見られなかった」とし、一方で変化が大きかったキーワートとして「FX」が例に挙げられています。
チェックしておきたいスマホ対応ラベルの有無
6月には、株式会社スプールから、「4/21以降のGoogleアルゴリズム変更後、モバイル検索結果で順位を下げているページの9割がスマホ非対応であることが判明」という調査リリースも発表されています。以下のグラフはそこから引用させていただいたものです。
これによると、「モバイル検索でPC検索よりも5位以上順位が落ちているページでは、その9割にスマホ対応ラベルが表示されていない」とされており、ビッグキーワードでは89%、地域+施設の複数キーワードでは95%がそれに該当したとしています。スマホ対応ラベルの有無の影響は、確実に出てきているようです。
先日、サイト運営者の集まりで話を聞く機会がありましたが、このスマホ対応ラベルについては熱心にチェックしている方が多いようでした。影響が実際に出て来ているという現状も合わせ、まだチェックしていない方は早めに「モバイルフレンドリーテスト」で、確認しておくと良いでしょう。
サイト運営にあたって押さえておきたいGoogleの考え方
スマホ対応はレスポンシブには限らない
スマホ対応において、もうひとつ認識しておくべきことがあります。それは「スマホ対応≒レスポンシブ・ウェブデザイン」ではない、ということです。スキルの高いサイト運営者の方でもこのような認識をしている方が案外と多いようですので、気をつけてください。これについてはGoogleの方から直接「我々はレスポンシブを特別扱いしていません。私たちが伝える3つの方法、そのどれでも良いんです」という話を聞けたので自信を持ってお伝えします。
ちなみに、スマートフォンに最適化されたサイトとして、Googleは次の3つの構築方法をサポートしています。
- レスポンシブ・ウェブデザインを使用しているサイト、すなわち、すべてのデバイスに単一の URL で同じ HTML を提供し、CSSを使用してデバイスごとにデザインを変更するサイトです。こちらが Google の推奨する設定方法となります。
- すべてのデバイスに対し単一のURLで、ユーザーエージェントに応じてデスクトップ用かモバイル用かなどを判断して動的に異なるHTMLとCSS を提供するサイト。
- モバイル用のサイトとデスクトップ用のサイトを別々に構築しているサイト。
(ウェブマスター向け公式ブログ「Google がお勧めするスマートフォンに最適化されたウェブサイトの構築方法」より)
どれでも良いと言いながらも、レスポンシブ・ウェブデザインを「推奨する」と書いてありますよね。なんとなくもやもやした感じもしますが、このあたりの情報を整理すると、次のようになるのかと思います。
スマホ対応の考え方と検索アルゴリズム
スマホ対応の仕方、3つの方法
まず、スマホ対応の3つの方法論についてですが、「最初に検討すべきはレスポンシブ。でも、様々な状況でそれが無理なら他の2つでも問題なし」というような解釈でいいかと思います。
実際には、新規サイトなのかリニューアルなのか、予算はどれくらいなのかなど、SEO以外の観点もあるはず。それらを踏まえ、総合的な判断になるでしょう。
アルゴリズムの要因は膨大にある
また、もう少し俯瞰した視点で検索結果順位の決定要因について図にしてみると、例えばこんな感じになるでしょうか。
これで何を伝えたいかと言えば、スマホ対応は重要ではあるけれども、手法にはそれほどこだわる必要はないということです。スマホ対応をどう行おうがそれは検索順位を決定するアルゴリズムの一つにすぎず、他の要因もたくさん存在して複雑に絡み合っているからです。
具体的な例で言えばGoogleは最近、ページの表示の速さについてテストを行っているという情報があります。これはレスポンシブサイトがやや苦手とする領域ですが、仮に読み込みスピードがユーザーにストレスを与えるほどあったとしたら、それがレスポンシブのサイトであってもGoogleは評価しないだろうということになります。このように、アルゴリズムが複雑化した現在では「これをすれば、順位が上がる」というシンプルな決定はできなくなっています。細部の手法などにとらわれすぎないように、時には俯瞰して考えてみるようにしましょう。
今回のまとめ
- モバイルフレンドリーアップデートの影響は、数値化するとやはり多く出ている。
- スマホ対応ラベルの有無で検索順位が変わる傾向がハッキリ。
- レスポンシブだけがスマホ対応の方法ではない。
- 多くのアルゴリズムが複雑に絡み合って検索順位が決まっている。
今回はスマホフレンドリーアップデートから2ヶ月時点での情報をまとめてみました。また、新しい動きに関する情報があれば、続編をお届けしたいと思います。
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