前回お届けした「インバウンドマーケティングを効率的にするステップメールの使い方【基本編】」では、ステップメールの基本的なしくみや特徴などを説明しました。今回は【実践編】です。
コンバージョンの獲得から、顧客フォロー、エンゲージメントの構築まで、インバウンドマーケティングを効率的に進めるためにステップメールを活用できるシーンはたくさんあります。どのようなコンテンツが有効なのか。どのようなシナリオの作り方があるのか。具体的な活用方法について、以下に3つのシーンを取り上げて紹介していきたいと思います。
ステップメールはこう使える!3つの事例
ステップメールは、インバウンドマーケティングにおける様々な場面で活用できます。ここでは、そのプロセスごとに3つのシーンを取り上げて、説明していきたいと思います。
シーン1:見込み客獲得からコンバージョンへのプロセスで活用
インバウンドマーケティングで見込み客リストを得るために、資料の無料ダウンロードやメルマガ登録を行うケースは多いと思います。それによってまずはメールアドレスを取得し、それを使ってアプローチしていくことによって、商品の購入やサービスの申込みなどのコンバージョンへと導いていこうとする流れです。このプロセスでステップメールを活用するには、どのような方法があるでしょうか。
事例:ソフトウエアを販売するA社の場合
◯目的
購入申し込みの獲得
◯活用方法
- 以前はWEBサイでメルマガ登録を受け付け、メールマガジンを一斉配信してフォローしていたが、それをステップメールに変更。
- 過去に配信したメルマガの中から成約率の高いものを分析し、5回シリーズでサービスについてわかりやすく紹介するコンテンツを作成。
- 通目のメールで期間限定の割引クーポンコードを発行し、購入申し込みを誘引
- 以上でフォローは一区切りとし、全員への一斉メールは、大きなキャンペーン等があるときだけ送信するようにした。
◯効果
- 運用の手間が大きく軽減し、コンバージョン率も向上。
- 受け取り手がアクティブな読者かどうかを判断できないまま大量のメルマガを送信し続けるよりも、5回シリーズで一旦完結させるかたちにすることで、コストパフォーマンスが高まった。
ステップメールでは、最初に目的を明確にすることが大切。このケースの目的は明確で、5通目を読み終えた時に「購入申し込み」という行動を起こしてもらうことです。それに向けて、1通目、2通目、3通目と、ユーザーの心理に沿ったシナリオでサービスの良さを紹介するメールを構成。最後の5通目では、申し込みを後押しするために、期間限定の割引クーポンをつけています。
このようなコンバージョンにつなげるタイプのステップメールでは、シナリオの構成が特に重要。最終的に達成したい結果に向けて、ユーザーの気持ちになって、その変容プロセスを考えていきましょう。
シーン2:客離れを防ぎ定着させるプロセスで活用
ステップメールは、既存客の離反を防ぐためにも活用できます。せっかく購入やサービス申し込みをして自社の顧客になってくれた人がいても、どんどん離れてしまったのでは、売上は安定しにくく、いつまでたっても新規獲得への投資や苦労を続けなくてはなりません。ステップメールを有効に使う方法を考えてみましょう。
事例:月額課金型WEBサービスを提供するB社の場合
◯目的
契約者に長くサービスを利用してもらうこと。
◯活用方法
- 顧客分析の結果、最初の3ヶ月継続使用すると長期利用につながる割合が高いことが判明。この期間を密にフォローするステップメールを送信することにした。
- サービス利用をやめてしまう原因となる障壁やトラブルを、FAQや活用事例のメニューとして送信。詳しくは、WEBサイトで確認できるようにした。
◯効果
- 早期利用が促進され、継続率が向上。
- よく参照されるメニューのリンクを計測することで初期の利用促進のヒントが得られた。
継続型の有料サービスでは、契約したものの利用が定着せず結局解約してしまう、というケースが見られます。この事例では、契約後3ヶ月以内に利用を定着させることを目的とするステップメールを送っています。
長いメールを送るのではなく、FAQや活用事例のリンクメニューだけをわかりやすく整理して送信。それによって、利用が進んでいない人に、自らの抱える問題や疑問に気づいてもらいやすくしました。もちろん、その狙いは、リンクをクリックしてWEBサイトの情報を見てもらい、サービスを利用してもらうこと。また、どのリンクがよくクリックされたかを計測することで、利用者が初期に抱く疑問や不明点を把握し、サービスの改善にもつなげています。
シーン3:フォローステップでのエンゲージメント強化に
売ったら売りっぱなしのビジネスモデルでは次の購入へとつながりません。一度できたつながりをいかにして深め、関係性を築いていくか…この顧客フォローのプロセスでもステップメールは有効に活用できます。
事例:美顔機器のネット通販を行うC社の場合
◯目的
購入者に正しく商品を利用してもらい、効果を実感してもらって、ブランドファンを増やしていくこと。
◯活用方法
- 美容アドバイザーからのメッセージという形でステップメールを作成。
- 商品発送後、使い始め、1週間後、2週間後、3週間後、1ヶ月後、2ヶ月後…というタイミングで、スッテプメールを送信。
- 送信内容は、それぞれの時期に利用者がよく感じる不安や悩みなどを取り上げたもの。また、メールと連動した内容で美容アドバイザーによるアドバイス動画を作成し、そのURLを掲載。詳しくはそれを見てもらうようにした。
◯効果
- 機器の継続利用者が増加。
- 効果があったというクチコミによる評判が高まった
このケースでは、なかなか効果を実感しにくいという美容機器ならではの課題をフォローし、多くの人にファンになってもらうためにステップメールを活用しています。利用開始からの時間を追って、その時々の不安や悩みに寄り添ったステップメールを作成。さらに、メール文だけでは伝えにくい内容を動画にすることで、見てもらいやすくする工夫をしています。
美容アドバイザーを動画に登場させ、顔が見える展開にすることで、次回以降のステップメールへの親しみや信頼感も大きくアップします。このように使い方を工夫することで、一方的な営業メールから、心待ちにされるメールに変えることができます。
今回のまとめ
今回は、ステップメールを有効活用できるシーンを3つの事例からご紹介させて頂きました。ステップメールと聞くと「自動的にメールを配信する」という効率化イメージが強いかもしれませんが、有効なシナリオがあってこその自動化です。いかに戦略的なシナリを完成させられるかが勝負の別れ目だということは、ご紹介した事例からもよくお分かりいただけたと思います。継続的な効果測定を行いながら改良を加え、より効果的なシナリオへと磨きをかけて行ってください!
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